動物性たんぱく質にも多くの鉄分が含まれていますし、吸収が良いので控えます。豆類、緑黄色野菜、穀類等の植物性たんぱく質も鉄分は多く含まれていますが、動物性たんぱく質より吸収が悪いので比較的安全とも言われます。しかし吸収を良くする食べ物と一緒に摂りますと鉄分は多く吸収されてしまいますので控えた方が良いです。たんぱく質は鉄分と結びついて腸からの吸収を促進してしまいます。

このたんぱく質ですが、ローリー・ロリキートは多く必要としません。たんぱく質の消化能力も低いと言われています。生物のエネルギー源となるのは、糖、たんぱく質、脂肪と言われます。ローリー・ロリキートのエネルギー源は糖の割合が多く占めていると考えられるそうです。たんぱく質は筋肉や臓器のたんぱく質を燃焼させないとエネルギーとして使えません。このたんぱく質より即行性のある糖質エネルギーを多く必要とする体質であり生活環境なのかもしれないそうです。 糖質は蜜がメインで炭水化物をあまり必要としていないのかもと。ブドウ糖は一気に血糖値を上げますが、長持ちしないと人間でも言われていますね、血圧は乱高下しないよう一定に保ちましょうと。野生下のローリー・ロリキートは花の間を飛び回って常に蜜を摂取しているのでしょう。蜜に含まれるたんぱく質の濃度だけでは必要最低限が摂取できないので野生下では花粉からも補給しているそうです。高濃度でたんぱく質が含まれていますが消費されるのは少しだとか。(この消化吸収の腸内での速度が重要なのですが、研究はまだ進んでいないようです。)

このたんぱく質を多く必要としない性質のため、フードのたんぱく質の含有量は低めにしなければなりません。勿論、成長期(ひなの時)や換羽期、老鳥にはたんぱく質は必要です。しかし与えすぎますと腎臓に負担を与えますので、たんぱく質の高いフードを与える時は注意深く与えて下さい。昆虫を食べる属は多少、高めでも大丈夫かもしれませんが、蜜食性の高い属は控えた方が無難かと思います。

 

ただ残念なことに「ローリー・ロリキートに何%のたんぱく質が適度なのか」という数字は出されていません。多くの属にわかれていますし必要な数字はなかなか難しいのでしょう。参考になるのは一般的にオウム目に推奨されている数字です。ローリー・ロリキート専用フードも、たんぱく質が高めであることは注意しておく必要があります。属により換羽期、年齢により使い分けるのも良いかもしれません。

 

横浜小鳥の病院のページ 

12%と記載があります。

(1) たんぱく質

たんぱく質は、筋肉、皮膚、内臓、血液、羽毛、嘴、爪など体を構成しているほとんどの部分を構成する成分であり、体はたんぱく質でできているといえます。たんぱく質は、アミノ酸から構成されています。アミノ酸には多数の種類があり、中でも体内で合成できず、必ず食物から摂らなければならないものを必須アミノ酸といいます。鳥の必須アミノ酸は、一般的にアルギニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、トリプトファン、スレオニンといわれています。またグリシン、ヒスチジン、プロリンも体内で十分に合成が出来ないため、必須といわれています。動物性、植物性を問わず食物には、たんぱく質が含まれています。私たち人間は、主に肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品からたんぱく質を摂取しています。では鳥はというと、普段食べている種子類に含まれるたんぱく質しか摂取していません。種子類には10%前後のたんぱく質が含まれています。この量は、鳥の要求量を満たしてはいます。しかし換羽期や成長期には食物中に約20%のたんぱく質が必要であるといわれており、種子だけではこの量を満たすことはできません。また必須アミノ酸量はどうかというと、実はこれも種子類だけでは、普段の要求量でさえ満たすことができていません。それでは、たんぱく質や必須アミノ酸が不足するとどうなるのでしょうか。たんぱく質の不足は主に成長期、つまり雛鳥の時に起こります。成長期には、食物中に約20%のたんぱく質が必要です。不適切なあわ玉のみで育てたり、あるいは1日の摂取量が足りないと、成長の遅延や自立の遅れがみられるようになります。必須アミノ酸の不足は種子食のみで飼育していると起こります。不足すると代謝の低下によって肥満が起こりやすくなります。また鳥種によっては羽毛、嘴、爪の形成不全を起こすことがあります。 たんぱく質の過剰も起こることがあります。これはペレットが主食になっている場合に、普段からたんぱく質の多いタイプ(ブリーダー、ハイポテンシイなど)を常食させることによって起こります。たんぱく質の過剰は、肝疾患、腎疾患、腫瘍の発生率を上昇させる可能性があります。」

 

http://www.avianmedicine.jp/category/1556331.html

 

小鳥の病院BIRD HOUSEのページ

「タンパク質の維持量は、通常12~14%が推奨されています。成鳥期、換羽期、繁殖期では、鳥種によって差異がありますが、15~20%以上のタンパク質が不可欠です。タンパク質が不足すると、成長障害、生殖障害、体重減少、毛引き、羽毛障害などの外被系障害や免疫力の低下が起こります。」

 

http://park2.wakwak.com/~toucan-bh/page002.html

 

「ローリー・ロリキートの食」を見て頂ければお分かりだと思いますが、多くの専用フードで通常の鳥さんと変わらないか、それ以上のたんぱく質が含まれています。

 
現在、日本で入手できるローリー・ロリキート専用フードのたんぱく質は小麦などの穀物の他に大豆で作られています。この大豆ですが多く摂取しない方がいいとされているたんぱく質と、摂取を避けるべき鉄分が含まれています。2004年に国内に輸入販売が始まったあるフードはSoybean Flour大豆の粉を原料としていました。これは当時とても良いとされていたフードですが、2010年頃からやはり良くないのでは?という話が出ました。この当時ローリー・ロリキートの原因不明の突然死が続いており、この話と結び付けられるようになりました。事実関係は明らかにされぬまま、そのフードの会社は販売を突然やめてしまいました。その後、販売されるようになった他社のフードは大豆の粉そのものではなくSOY PROTEIN CONCENTRATE大豆たんぱく質濃縮物、SOY PROTEIN ISOLATE大豆たんぱく質分離物を使用しています。この大豆に関しては科学的なエビデンスはまだ出ておりませんが要注意すべき点です。本当に大豆の粉そのものが良くなかったのか、今でいう風評被害のようなもので販売をやめてしまったのか、わからないのですが、理由を明らかにして欲しかったなと、とても思います。2010年頃は今よりもローリー・ロリキートのことがわかっておらず、果物をたくさんあげようとか、固形物を消化するのに適していないことがあまり知られていなかったとか、たんぱく質不足であるとか言われることもありました。

ローリー・ロリキート専用フードはまだまだ発展途上なのです。

 

こちらはローリー・ロリキートの専用フードの成分分析表です。もともとは ハチドリの鉄貯蔵病とどのようなフードが良いかの調査の記事で、こちらも 少し古く2003年のものです。現在も日本では未輸入のもの、動物園のフードらしきもの、廃番になったものが記載されています。最終ページに1から15のフード名があがっています。

https://nagonline.net/wp-content/uploads/2014/02/03NAG_pp38-43.pdf

現在、日本で入手できるのはクイコ、ネクトンローリー、ラウディブッシュ、ウォンバルー。

ビタミンAも気になりますが、やっぱりたんぱく質と鉄分が気になりますね。 ただ、2.クイコの数字が異常に低くて「?」となっています。「ローリー・ロリキートの食」でも記載しましたが、クイコは再調査しなければならないと思っています。
 
これが気になっていたところ、たまたま鳥類臨床研究会のサイトを見つけ、たまたま
会報18号の要約の部分にローリー・ロリキートについて記載があるのを見つけました。
何と、私がずっと参考にさせて頂いた先生の論文です。

http://jacam.ne.jp/bulletin/bn18

「ヒインコ類に観察された血清尿酸値の上昇とフードとの関連性の検討

ヒインコ科の鳥で血清尿酸値が高い症例に多く遭遇したことから、それら8羽の鳥が食していたローリーフード(8社8種類)に尿酸値を上昇させる要因がないか栄養含有量と原材料について、穀物食の鳥用のペレット(8社8種類)と比較し検討をおこなった。
その結果、8種類のうち7種類のローリーフードのタンパク質含有量が飼鳥の栄養推奨量より高かったが穀物食の鳥用ペレットと大きな差異はなく(中央値の一致)、ローリーフードのタンパク質含有量が尿酸を過剰に生成させる要因になるとは考えられなかった。また、ビタミンAの含有量に不足はなく、ビタミンD3、カルシウム含有量は明記していない製品が多かったため判断できなかった。
原材料についてみると、8種類のペレットの主成分が穀類だったのに対し、ローリーフードではショ糖・ブドウ糖・果糖などの糖類が主成分として多く使用されていた。近年ヒトでショ糖・果糖は高尿酸血症を発症させる要因として注目されており、鳥においても血清尿酸値を上昇させる要因となっている可能性が考えられた。」

要約ですので詳細は不明ですが、先生はたんぱく質の高さとローリー・ロリキートの多くの死亡原因である高尿酸血症とは関係があまりないと書かれているように読み取れます。
後半は私もずっと気になっていた糖についての記載。これはしかしどの専用フードも変更してくれる気配はないので、もどかしいところ。

あまり関係がないとの要約の記載ですが、やはりここはとっても気になるところです。
読んでみたくて色々と探したのですが獣医大の図書館で所蔵しているところも肝心のこの18号だけなかったり。なので主治医に相談してみます。何かわかりましたら、お伝え致しますね。
 
この成分表の何が気になるのかというと、6と7のアビコのローリーライフネクターとパウダーです。当時、良いとされた後、やはり良くないとではと言われ廃番になったいわくつき。2011年当時の突然死を体験した方々には忘れ難いフードです。私も含めて。この表を主治医にも見てもらったのですが、普通の鳥さんのフードよりたんぱく質は確かに高めだけど、原材料(当時は大豆丸絞り、現在は大豆分離物質等)の違いだろうか、とのこと。素人の私が表を見る限り他と数字はさほど変わらないように思えます。やはり原材料のせいだったのだろうか。幾ら考えても、幾ら悔やんでも、時は戻らないし私たちのかわいいこたちも戻ってこない。でも、二度と、あのような思いはしたくないしさせたくないので、私はまだまだ足掻いていこうと思います。  

 

個人的に穀物由来のフードはどうなんだろう?という疑問が私にはあります。本来は蜜・花粉・果実・多少のシードと昆虫を消化するために特殊なシステムになっている腸が(「糖の形・特殊な腸の吸収システム」をご参照下さい)、穀物由来のフードを同じように消化吸収できているのか?という。穀物由来のたんぱく質が精製されてどのようになっているのかは私にはわかりませんが、ローリー・ロリキートが蜜や花粉をどれくらいどのように消化吸収しているのか、という研究はされ始めています。本来の主食と、穀物由来のたんぱく質が、同じように消化吸収されていると私には思えないのです。(腎臓の構造が異なるかもしれない可能性も、一部で指摘されているようですし)

ただ、雑食性の高い属は穀物由来の専用フードでも比較的、大丈夫なようです。蜜食性が高い、または種子性が高い属は注意が必要なのではと思っています。