「ローリー・ロリキートの食・飲み水」で触れました。

 

「高尿酸血症・痛風」はローリー・ロリキートにとって注意すべき点です。主治医は「 痛風の原因を、たんぱく過剰やミネラル過剰による硬質化だと考えると、たんぱく摂取量を控えたり、与える水を純水にするのがいいように思います」と アドバイスを下さいました。

 

 

不純物を含まないか、ほとんど含まない水。膜で濾過したりしたものだそうです。 

電子産業で使用される他、ミネラルを含まないため、赤ちゃんのミルクや、尿路結石のわんこさんにゃんこさんの飲み水として使用されているそうです。RO水とも言うそうです。

 

これを知った頃から、何故、猫さんには腎臓病が多いのか?疑問に思って調べ始めました。

そして、これを書いている少し前に、猛禽さんを飼っていらっしゃる方が「猛禽類も腎臓を

悪くするこがいる。7歳前後。猫さん用腎臓食をあげたら良いようだ」という記事を

あげていらっしゃるのを目にしました。

 

腎臓(肝臓も)を悪くして発症するローリー・ロリキートも7歳前後です。何か共通点が

あるのかな?猫さん、猛禽さん、ローリーさん??

 

猫さんと腎臓病について。岡山のだて動物病院さんのサイト。

わかりやすいです。これはローリー・ロリキート飼いさんにも読んで頂きたいです。

「猫の原産は、砂漠や高山などの水が少ない場所です。そのため、猫は少ない飲み水の

 量で効率良く生活をおくれるよう腎臓の機能が強い生き物です。

(体内で水を有効に使うために腎臓での尿の濃縮率が高く、濃い尿をする)

 しかし、猫の腎臓にはよく働き過ぎるあまり、その代償として、年をとると

 ともに大きな負担がかかってしまいます。」

 

https://date-vet.jp/byoki/vol4.html

 

やはり7歳前後とも。対応策として、鳥と似た治療法には食事療法・飲水量を増やす・点滴が

あります。

 

 

また最近、猫さんの腎臓病で新たな発見がありました。人間のお医者さまが猫さんの腎臓病の

仕組みを解明されたのです。AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)というたんぱく質の

発見です。AIMは“体内のゴミを掃除する”役目があるそうです。

 

「AIM自体がゴミを掃除するわけではありません。体内にゴミが出ると、AIMが問題の

 箇所に付着してゴミがあることを知らせる役目を担います。その後、マクロファージなど

 他の細胞がゴミを除去する。こういった機序のもと、AIMが関与する疾患として挙げられる

 のは肥満や肝癌、そして特に重要なのが腎臓病です。」

「根本的な原因はAIMの働きにあったのです。急性腎障害が生じると、尿細管にゴミ

(細胞の死骸)がたまります。ヒトやマウスの場合は、AIMが発動してゴミが取り除かれ

 腎機能が改善する。言わばトイレの排水管が詰まったら即座に掃除するようなものです。

 でもネコの場合はAIMが発動しません。それで“詰まり”が解消できないまま腎機能が

 低下するのです。」

 

https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03357_01

 

 「2020年中にAIM製剤の薬事申請に必要な臨床試験を開始し、2022年までの商品化を

 めざしています。」

 

治験はすでに始まっているようで、大きな期待が持てます。これが他の動物にも使える

ようになれば、何てすごいんだろう・・・!とニュースを見た時、エキサイトした

記憶があります。2019年の秋だったと思います。鳥類の腎臓の構造は、哺乳類とは

異なりますが、やはり気になりますよね!

 

そして、猛禽さんの記事を目にしたのが2020年の4月でした。どうしてだろう?

ローリー・ロリキート、そして猫さんとの共通点?全く異なるように思えます。

そこで、先程のサイトの言葉を思い出したのです。

 

「ネコは肉食で主にタンパク質から栄養を摂取するため、腎臓に負担がかかるのは

  ある程度仕方ないと考えていました。」

 

ふむ?猫さんも猛禽さんも完全肉食ですよね。調べ始めはしたものの、なかなか飼育下の

記事は見つかりません。野生下のものがほとんどです。

 

こちら、少し古い記事ですが痛風の記載があります。猛禽類は通常、獲物から必要な水分を

摂取するとも。しかし、それに加え飲み水と水浴びの水をと記載があります。

 

https://www.dvm360.com/view/raptor-medicine-proceedings

 

こちらはメンフクロウさんの記事。同じく、獲物から水分を摂取し、野生で水を

飲むところをほとんど観察していないとのこと。雛も与えられた獲物から水分を

摂取するようです。

 

https://www.allaboutbirds.org/news/bird-cams-faq-barn-owl-nest/

 

 他にも脱水状態に関しての記事もありました。猫さんの記事にも脱水状態について

記載されたものがありました。人間と同じで、皮膚をつまんで脱水状態か判断する

方法が記載されていました。猫さんと猛禽さんは生息地域は異なるものの、肉食で

水分を獲物から摂取するため腎臓を傷めやすいのかもしれません。

 

2020.4.23 追記

さて、ここでちょっと思い出しました。インコといえば!なセキセイインコさん。

セキセイさんも痛風になりやすいと言われています。特に関節痛風になりやすいと

聞きますね。ちょこっと調べてみました。

鳥さんはもともと尿酸値が高いですが、腎臓がその尿酸を体の外に排出することが

出来なくなると、尿酸が体内のどこかにたまります。足にたまれば関節の痛風。

臓器に溜まれば内臓の痛風となます。尿酸の結晶が炎症を起こして痛みを起こします。

治療としては 水の摂取量を増やし、尿酸を体外に排出する手助けにする、腹部や

骨内部への注射や点滴等があります。鳥さんが飲む水の量を増やすのは、とても

困難なので果物や水分の多い野菜を食べさせる、 水を飲みやすいように容器の形や場所を

工夫する、等があります。果物や野菜は栄養分のこともありますし悩みどころですね。

 

セキセイさんはオーストラリアの乾燥地帯に住んでいます。乾燥したところに住んでいる

鳥さんは水分が少しでも生きていける体質です。この辺りは猫さん猛禽さんに似ていますね。

そして太りやすい体質でもあり痛風になりやすい体質です。食べ物や水が少ない厳しい

環境で生きていることが飼育下では裏目に出てしまっているのかもしれません。飼育下では

たんぱく質の高いごはんを多く食べ太りやすくなっているのに、飲む水は少しですから。

水分を多く必要としない体質は、オーストラリア固有種で絶滅が危惧されている夜行性の

ヒメフクロウインコさんと似ているそうです。

砂漠に住む鳥さんは選択肢が少ないので、餌から栄養素や水分を吸収する能力が非常に

高いと思います。これは猫さんにも共通して言えることで、猛禽さんにも当てはまるのかも

しれません。

 

鳥さんは尿素を排出しますので、腎臓の排泄能力に過負荷がかかります。そしてたんぱく質の

過剰摂取によって引き起こされる痛風、つまり高尿酸血症につながる可能性があります。

脱水症状はこの問題を悪化させ、過剰なたんぱく質摂取がなくても、痛風を引き起こすことが

あります。

 

さて、では我らがローリー・ロリキートは?

こちらは時折、触れていますがローリー・ロリキートは水分の多い熱帯雨林に

生息していることが多いです。主食も蜜や果物。水分を多く含んでいるでしょう

(果物は日本の果物と違って水分たっぷりとはいかないでしょうけれど)。

しかし飼育下のローリー・ロリキートはそんなに水を飲んでいないような気がします。

うちのにおさんが、ネクターにした途端、尿酸値が上がったように。勿論、個体差は

あるでしょうが、なるべく水分を摂らせた方が良いような気がします。なるべく

飲んで出して、水浴びもさせて、腎臓に負担をかけない方がいいのかな?と思います。

断定は出来ません。まだわからないことが多すぎますから。しかし、猫さん猛禽さんが

私たちに何かを教えてくれているような気がします。

ご参考になりましたら。

 

 2020.4.23 追記

多く水分を含んだ主食は、エネルギーや栄養分を摂るために大量に摂取しなければなりません。そして水分を多く含むために、体内の通過時間が短くなります。濃い餌や乾燥したごはん、

消化しにくいごはんは体内にたまった廃棄物の排泄を困難にして脱水を引き起こし、摂取する

水分を増加しなければならない可能性があります。

たとえば、野生の花の蜜は、蜂蜜と違って薄いですよね。薄くて水分が多いので、必要な

栄養分を摂るためには沢山、飲まなければなりません。飲んだものをあんまり体内に

置いておくと固まって出にくくなりますし、乾燥したものや粘度の高いものばかりを

食べていると、こちらも出にくくなるので、脱水状態を引き起こし、腎臓にダメージを

与えます。そうならないためにも他に水分を摂取する必要が出てくる訳です。

水分が多いごはんを食べているローリー・ロリキートは、お水をあまり飲まないという

報告もあるようです。

薄いしゃばしゃばのごはんばかりだと栄養が摂れず、反対に沢山、飲んでもらわねばならず

濃いねっとりしたごはんばかりだと、脱水状態になって脱水状態になってしまう。

丁度良いごはんはなかなか難しいですね。野生下では蜜とともに花粉も食べますが、

花粉は消化に悪いので、ゆっくりと消化されます。このゆっくりさが、蜜の栄養分

摂取には丁度良い時間になっているようです。ダイエットさせなきゃ、と薄いごはんを

あげていると、栄養がじゅうぶんに摂れなくなる可能性もありますので、お気を付けて

あげて下さいね。果糖やブドウ糖を多く含むものなど、血圧をあげ過ぎるごはんは、脱水を

引き起こしやすいです。こちらは人間と同じですね。甘すぎるのも注意してあげて

下さいね。

 

 

野生の果物と、人間が作った果物にもかなり違いがあります。 オーストラリア原産の果物は

たんぱく質が高いですが、タンニンを多く含む果物では、このたんぱく質の摂取量が抑えられる

可能性があります。人間が作った果物は糖と水分が多く、たんぱく質をあまり含みません。

野生の果物の繊維含有量は、野菜のそれに似ているようです。

果物は一般にプロビタミンAとビタミンCを多く含み、鉄はあまり含みません。野生の果物は

人間が作った果物よりもビタミンCをあまり含まず、この辺りがローリー・ロリキートの

鉄貯蔵病に関連があるのかもしれません。ビタミンCが鉄の吸収を促進するため鉄貯蔵病に

なりやすいですから。