さて、書ける時に書いておかなければ。 

 

去年の秋の愛知トリエンナーレのことはご存知の方も多いと思います。ここで詳しくは 

書きませんが、TSUBASAさんの最終報告も出ました。その時にとても骨を折って下さった、みかりんさんのブログに気になる記載を見つけましたので、ちょっとそのことについて書いてみたいと思います。とても悲しくお辛い中で一生懸命、綴って下さったそのお心の内は如何ばかりかと胸が痛みます。 

 

http://ameblo.jp/mika-kikilala/entry-12239386965.html 

 

文鳥さんが肝臓肥大で旅立たれたのですが、「たくさんの羽を持つ鳥たちは換羽(かんう、またはとや)があるので、羽の生え変わりによって(哺乳類よりも)肝臓を酷使するのだそうです。」と書かれています。 

 

ローリー・ロリキートは肝臓を病むことが多いです。そして換羽期や季節の変わり目に体調を崩すことも多いようです。肝臓を酷使しているのでしょうか。二代目スミインコあおいさんもそうでした。 

 

免疫系が弱い(と私には見える)ローリー・ロリキート。舌でなめとる習性があるためか、お口から雑菌が入り込みやすい→換羽や季節の変わり目で免疫系弱ってる→雑菌に負ける、という図式に肝臓酷使という要因がプラスされるのか・・・。そのあたり、重点的にケアしていかねばなあ。でもこの図式はローリー・ロリキート以外のトリさんでもじゅうぶん当てはまる図式。気を引き締めなければいけないシーズン、換羽期ですね。 

 

野生下ではこのように肝臓を病むのか、免疫系が弱いのか、その辺りはわかりませんが 

飼育下のローリー・ロリキートはフードの関係なのか、特に気になります。 

 

また、この文鳥さんが全身性アミロイド症、アミロイドーシスという病気によって肝臓を悪くしていたことが病理検査でわかったそうです。アミロイドーシスは人間の難病であることは知っていましたが、わんこさんにゃんこさんでもあるようですね。岐阜大学でフラミンゴの報告もあがっているようですし、水鳥、野鳥、猛禽類でも報告があがっているようです。 

 

アミロイドーシスについて難病センターの記事。 

http://www.nanbyou.or.jp/entry/45 

 

異常な蛋白質が様々な臓器に沈着し、機能障害を起こさせる病気で、遺伝性のものと 

そうでないものがあるそうです。心臓、腎臓、胃腸、末梢神経、自律神経の障害などが 

あり、肝臓が腫れることもあるそうです。心臓の障害だと心不全や不整脈、腎臓の 

障害だとネフローゼや腎不全、末梢神経・自律神経の障害だと手足の痺れ、麻痺、 

立ちくらみなど。 

 

脊椎動物なら罹患する可能性はあるとのこと。 

https://medicalnote.jp/contents/160906-005-FR 

 

肝臓に腎臓というローリー・ロリキート。クリティカルヒット、と私が思ったのは言うまでもありません。 

 

みやぎ小鳥のクリニックの慢性肝臓病の項に記載がありました。 

http://仙台小鳥動物病院.com/blog/archives/category/kotorisick/page/6/ 

 

慌てて参考文献の「コンパニオンバードの病気百科」を開いたら、確かにアミロイドーシスの記載がありました。慢性感染症(抗酸菌症、アスペルギルス症など)や肝組織の損傷に伴う長期にわたる炎症の結果、生じるとあります。読んでたはずなのになー、「稀に飼い鳥でも見られる」の一言で私の中でメインとして扱われていなかったようです。駄目だ、私。 

 

確かに初代スミインコるりをさんを主治医が初めて診て下さった時、抗酸菌症も 

アスペルギルス症も疑われ検査をしました。アスペルギルス症(もしくは疑いのある) 

ローリー・ロリキートは複数羽、耳にしたことがあります。るりをさんにもアミロイドーシスの疑いがあったのかもしれません。言われたことはなかったけど(すでに対症療法しかなかったし)。 

 

東京女子医科大学にはアミロイド腎症の記載があります。 

http://www.twmu.ac.jp/NEP/amiroid.html 

 

るりをさんは肝臓・腎臓・膵臓に炎症が見られました。他にも多くのローリー・ロリキートには肝臓と腎臓に異常が見られました。これが慢性感染症からくるアミロイドーシスが原因なのかフードによる負担が原因なのか、それはわかりません。しかし、もっと注視していかねばならない病気だと、今回、思い知らされました。 

 

たいせつなコシジロさんをやはり病理診断された方のブログ、これもとても示唆に富んでいます。 

http://blog.livedoor.jp/hina_so_sweet/ 

 

臓器に鉱質沈着、脂質沈着が見られるとあります。鉱質沈着は石灰化のことだそうで。 

特に腎臓に多く見られたようで原因不明ですが、腎炎であったことは確実のようです。 

 

肝臓、腎臓、免疫系。とにもかくにも原因不明ですが、ローリー・ロリキート飼いさんには本当におさえておいて頂きたいポイントです。野生下ではどうなのか。フードなのか免疫なのか。「みずひろ小鳥の診療所の先生よりローリーアンケート」についての 

日記にもありますが 

 

①ローリーに高尿酸血症(痛風)になりやすい遺伝的な素因がある 

②腎機能に影響を及ぼすローリー特異性の病原体が存在する 

③ローリーにとって腎機能に影響を及ぼす(あるいは高尿酸血症をおこす)飼育環境 

(栄養・水など)が存在する 

 

この三点が本当に気になります。遺伝的要素となるとアミロイドーシスが気になるところですし病原体となれば免疫系の弱さが気になり、飼育環境となればフードが気になります。 

 

これから、もっと獣医学が進展し、解明されていけばいいのになと、切に願います。 

 

最後に愛鳥さんを病理診断に出された飼い主さま方、頑張ってくれた愛鳥さんたちに 

心から感謝を致します。私は旅立たれた時は頭がぐるぐるになっていて(覚悟をしていても)すぐには病理診断のことが浮かびませんでした。そして勇気が出せるかどうかも、わかりません。頭の下がる思いです。でも、きちんと考えておかねばと、やはり思います。