鉄貯蔵病で少し書かせて頂きましたが、ローリー・ロリキートは花蜜や果物を主食としているので糖類を効率よく吸収するための受動的な腸のシステムを持っていると言われています。食べたものがすぐに(時には未消化で)軟便のまま排泄されます。腸内を素早く通過する受動的な吸収力の高い特殊な消化システム。そしてローリー・ロリキートは代謝が良いのですが、これらがプラスされて飼育下で様々にエラーを引き起こしている可能性は否定できないと思っています。鉄貯蔵病に関して「鉄貯蔵病感受性種」は十二指腸粘膜防御機構が遺伝的に欠損している可能性がある、しかし個体差があり他のストレス因子が関与しているとも言われます。

その十二指腸ですが、鉄はを吸収し、胆汁や膵液の分泌を調節する働きがあります。
胆汁や膵液はアルカリ性で胃から送られた酸性の粥状の液を素早く中和する機能を持っています。
胆汁は脂肪を消化・吸収しやすい形にしたり脂溶性のビタミンの吸収を助ける働きを持っています。
膵液は3大栄養素の消化酵素を全て含んでいます。この十二指腸の粘膜は胃酸や食べ物、お薬に曝されていますから、何層もの防御機構で保護されています。先程の疑われている案件でも高尿酸血症が多いことに関してなりやすい遺伝的な素因があるとあげられておりますね。
我が家のローリー・ロリキートは炭水化物が未消化便として出ます。ローリー・ロリキート専用フードは糖質である炭水化物を多めに含んでいるからではないかと言われています。
炭水化物の消化は膵臓からの外分泌で行われますが、分泌不全であれば消化酵素を投薬して消化を補助します。体重減少や、活動性の低下があれば分泌不全とされますが、元気で体重もある場合は経過観察とされます。初代スミインコや他のローリー・ロリキートが肝臓と腎臓の他に膵臓が悪かったことから、腸内で専用フードが消化される時に何らかのエラーが起きているのではないかと思っています。(*下記に未消化便について記載しました)

先程もあげましたようにローリー・ロリキートは糖質がメインで炭水化物をあまり必要としていない可能性があります。穀物を原料とした専用フードは理論上は間違っていませんが、腸からあまり吸収できていなければエネルギー源として使えませんし、腸に負荷をかけているのかもしれません。花蜜に含まれるたんぱく質は僅かで、主に水分と糖分から構成されており、エネルギーは糖エネルギーです。穀物から得られるエネルギーは、主に糖質エネルギーで、これを分解し、糖としてエネルギー利用します。穀物から得られるエネルギーの方がひと手間かかるのですね。

このローリー・ロリキートが野生下で摂っている天然の糖質は植物や昆虫に含まれているラフィノースや果物に含まれる果糖で、精製された砂糖や人工甘味料とは異なります。ラフィノースは胃や小腸で消化酵素によって消化吸収されることなく大腸に達します。大腸で腸内の善玉菌であるビフィズス菌の増殖源となり悪玉菌を駆逐します。胃や小腸で分解されませんのでエネルギーになりにくいです。消化のいい砂糖だけのフードにしてしまうと腸内バランスが崩れてしまいますし、腸内にとどまる時間が短いと他の栄養を吸収する過程に良い影響がないとも言われています。ラフィノースは免疫賦活作用、肝機能に対する効果があると人間用でも言われていますね。オーストラリアの野生のゴシキセイガイインコは都市でも多く見られますがオープンテラスでお砂糖やジャムをあげる方が増加したことにより腸が壊死して亡くなってしまったという事案もあります(糖分が高いため菌が繁殖し亡くなったという原因もあるでしょう)。

この糖質の違いも、特殊な消化システムに影響を与えているのかもしれません。他の鳥と必要栄養素を吸収する腸のシステムが異なり、また哺乳類とも大きく異なる。そして野生下の環境とは全く異なる環境におかれているため、必要なものが不足していたり、不必要なものを過剰に摂取しているという可能性があります。消化できるものが消化できていなかったり、消化できていなかったり、という可能性もあります。

 

花粉は消化しにくいようで、ゆっくりと腸で消化されます。この腸内での滞在時間がローリー・ロリキートの栄養吸収に関係があるようです。

この消化吸収が良い腸のシステムに加え、ブラシのような舌で何でも舐める習性がありますので感染症に罹りやすいのかもしれません。普通の鳥さんと同じように季節の変わり目、気圧の変化の激しい時期、換羽期、フードの変更時は要注意です。この時に感染症に罹りますと、あっという間に胃腸や肝臓、腎臓にダメージを与え悪化させます。

食性、代謝の良さ、腸の特殊なシステム、疑われる遺伝的欠陥。これらがもたらすものの研究がもっと進んで欲しいです。

 

*糖質・糖類について

炭水化物= 糖質 + 食物繊維

糖質=糖類 + 多糖類 + 糖アルコール + その他
糖類= 単糖類 + 二糖類
このあたり、本当にややこしい・・・。ラフィノースは三糖類。ショ糖は二糖類、ブドウ糖・果糖は単糖類です。フード会社にも糖の原料はもう少し考えて頂けたらなあ、と切に願います。

 

*未消化便について。昔ローリー・ロリキート飼いさんのブログでも通院時に炭水化物未消化便があったと読んだことがあります。
2008年のものです。ただブログもmixiも更新されておられないようなので、その後の様子はわかりません。2008年に健康診断に行き、主治医の先生に「じゃがいもとかお芋系を食べたか」とたずねられたそうです。それまでの健康診断では異常なし、しかし糞の臭いが少し強くなったかな?と思ってらしたそう。検査の結果、炭水化物がうまく消化できていないとのこと。心当たりは、いつものフード(海外のハンドメイドレシピが多かったご様子)にベタファームのゴールデンネクターを増やしたことだそうです。体重を増やしたくて、と。体質にあわなかったのかな?元に戻そう、と書かれておられました。我が家も、るりのさんが一時、糞の臭いが少し強い時期があったことがあります。

未消化便が出ても、上記に記載しましたように、栄養自体は吸収できている(=体重減少がない)ので大丈夫とのことですが、要注意で観察を続けたいところです。体重減少があれば余り宜しくないので、すぐに病院に連れて行ってあげて下さい。

花蜜を摂取し排出し、花蜜を摂取し排出し、の繰り返しをテリハは特にやっているのかも・・・とのこと。メインが花の蜜、ネクターイーターに近い、ということなのでしょうね。実際、水分の多いフルーツを食べた後のテリハは、ほぼ水の糞をすぐに、何度も出します。