このたんぱく質過剰摂取は腎臓に負担がかかり高尿酸血症や内臓痛風を引き起こします。これも人間用の説明で、薬品会社からのものとウィキペディアです。

「高尿酸血症 
尿酸値が7.0mg/dLミリグラム・パー・デシリットルを超えた状態が「高尿酸血症」です。高尿酸血症が長期化すると尿酸が結晶化し全身で悪さをします。関節に溜まれば
痛風発作リスクを高め、皮下組織や関節などに沈着すれば痛風結節というコブのようなものを作ります。腎臓の中に沈着すると、痛風腎を引き起こし腎臓の機能を低下させます。老廃物を尿として排泄できない腎不全にまで悪化すれば、透析を受けなければなりません。」

「痛風 
痛風とは尿酸が体内で析出て結晶ができることにより関節炎などを来たす疾患である。
背景には高尿酸血症などが存在する。食欲不振、悪心、嘔吐、全身倦怠感、息切れ、貧血、浮腫」

この痛風ですが、セキセイインコさんと暮らしていらっしゃる方は耳にされることが多いかと思います。セキセイインコさんは、この関節痛風が多いです。しかしローリー・ロリキートに良くみられるのは内臓痛風です。関節ではなく内臓に結晶ができます。こちらも症状が現れることが少なく、突然死を引き起こします。これは人間も同じですね。

ローリー・ロリキートに良くみられるのは肝臓と腎臓の病気です。どちらも症状が出にくく、どちらが先に悪くなったのか、わからないことが多いです。人間でも肝臓と腎臓の病気は複雑に絡み合っていると言われますね。この肝臓と腎臓の病気が何故、多いのかは良くわかっていません。たんぱく質や糖分を多く摂ってしまったため肝臓の病気になってしまったのか?それとも先に腎臓の病気になってしまったのか?それとも感染症で腎臓の病気になってしまい、肝臓の病気にもなってしまったのか?本当に鉄貯蔵病なのか?

突然死が相次いだ2010年前後には原因不明だが、どうも肝臓と腎臓が悪いらしい、ということしかわかりませんでした。2011年に我が家の初代スミインコも肝臓、腎臓、膵臓を悪くしていることがわかり、一年の闘病をしましたが、その時も対症療法しかありませんでした。2018年現在も、原因不明です。

ただ疑われていることはあります。高尿酸血症が多いことに関して高尿酸血症(痛風)になりやすい遺伝的な素因がある?腎機能に影響を及ぼす特異性の病原体が存在する?
腎機能に影響を及ぼす(あるいは高尿酸血症をおこす)飼育環境 (栄養・水等)が存在する?

遺伝的なことは人間でも言われていますね。栄養に関しては専用フードが発展途上ですので関係があるのかもしれません。たんぱく質は腎臓で濾過されますので過剰になると腎臓がダメージを受けます。

肝臓と腎臓が悪くなった場合、両臓器に影響を及ぼす感染症や全身性の血圧低下、
多臓器不全がまず疑われるそうです。我が家の初代スミインコも感染症を疑い検査を
したのですが、これといった細菌もウィルスも見つかりませんでした。(PBFD、ポリオーマ、クラミジア、赤痢菌、サルモネラ菌、下痢原性大腸菌、カンジダ、O157、鳥結核。PBFDは時期や病院を変え3回しています。)

感染症に罹るローリー・ロリキートは多いようですし、感染症だと疑われるが細菌もウィルスも特定できないということも多いようです。そして他の鳥さんでは思わぬような症状が出ることもあるようです。

そして感染症に罹って肝臓と腎臓の病気になるのか、肝臓と腎臓の病気で体調不良と
免疫低下を起こし感染症に罹るのか、 その辺りはやはり不明です。不明ではありますが、肝臓と腎臓と感染症。これらは要注意事項です。海外の文献でも感染症によく触れられていますし、先程の疑われている案件でも特異な病原体の存在があげられております。

鉄貯蔵病で少しお話させて頂きましたが、ローリー・ロリキートは花蜜や果物を主食としているので糖類を効率よく吸収するための受動的な腸のシステムを持っていると言われています。食べたものがすぐに(時には未消化で)軟便のまま排泄されます。腸内を素早く通過する受動的な吸収力の高い特殊な消化システム。そしてローリー・ロリキートは代謝が良いのですが、これらがプラスされて飼育下で様々にエラーを引き起こしている可能性は否定できないと思っています。鉄貯蔵病に関して「鉄貯蔵病感受性種」は十二指腸粘膜防御機構が遺伝的に欠損している可能性がある、しかし個体差があり他のストレス因子が関与しているとも言われます。

その十二指腸ですが、鉄はを吸収し、胆汁や膵液の分泌を調節する働きがあります。
胆汁や膵液はアルカリ性で胃から送られた酸性の粥状の液を素早く中和する機能を持っています。
胆汁は脂肪を消化・吸収しやすい形にしたり脂溶性のビタミンの吸収を助ける働きを持っています。
膵液は3大栄養素の消化酵素を全て含んでいます。この十二指腸の粘膜は胃酸や食べ物、お薬に曝されていますから、何層もの防御機構で保護されています。先程の疑われている案件でも高尿酸血症が多いことに関してなりやすい遺伝的な素因があるとあげられておりますね。
我が家のローリー・ロリキートは炭水化物が未消化便として出ます。ローリー・ロリキート専用フードは糖質である炭水化物を多めに含んでいるからではないかと言われています。
炭水化物の消化は膵臓からの外分泌で行われますが、分泌不全であれば消化酵素を
投薬して消化を補助します。体重減少や、活動性の低下があれば分泌不全とされますが、元気で体重もある場合は経過観察とされます。初代スミインコや他のローリー・ロリキートが肝臓と腎臓の他に膵臓が悪かったことから腸内で専用フードが消化される時に何らかのエラーが起きているのではないかと思っています。

先程もあげましたようにローリー・ロリキートは糖質がメインで炭水化物をあまり必要としていない可能性があります。穀物を原料とした専用フードは理論上は間違っていませんが、腸からあまり吸収できていなければエネルギー源として使えませんし、腸に負荷をかけているのかもしれません。花蜜に含まれるたんぱく質は僅かで、主に水分と糖分から構成されており、エネルギーは糖エネルギーです。穀物から得られるエネルギーは、主に糖質エネルギーで、これを分解し、糖としてエネルギー利用します。穀物から得られるエネルギーの方がひと手間かかるのですね。

このローリー・ロリキートが野生下で摂っている天然の糖質は植物や昆虫に含まれているラフィノースや果物に含まれる果糖で、精製された砂糖や人工甘味料とは異なります。ラフィノースは胃や小腸で消化酵素によって消化吸収されることなく大腸に達します。大腸で腸内の善玉菌であるビフィズス菌の増殖源となり悪玉菌を駆逐します。胃や小腸で分解されませんのでエネルギーになりにくいです。消化のいい砂糖だけのフードにしてしまうと腸内バランスが崩れてしまいますし、腸内にとどまる時間が短いと他の栄養を吸収する過程に良い影響がないとも言われています。ラフィノースは免疫賦活作用、肝機能に対する効果があると人間用でも言われていますね。オーストラリアの野生のゴシキセイガイインコは都市でも多く見られますがオープンテラスでお砂糖やジャムをあげる方が増加したことにより腸が壊死して亡くなってしまったという事案もあります。

この糖質の違いも、特殊な消化システムに影響を与えているのかもしれません。他の鳥と必要栄養素を吸収する腸のシステムが異なり、また哺乳類とも大きく異なる。そして野生下の環境とは全く異なる環境におかれているため、必要なものが不足していたり、不必要なものを過剰に摂取しているという可能性があります。

この消化吸収が良い腸のシステムに加え、ブラシのような舌で何でも舐める習性がありますので感染症に罹りやすいのかもしれません。普通の鳥さんと同じように季節の変わり目、気圧の変化の激しい時期、換羽期、フードの変更時は要注意です。この時に感染症に罹りますと、あっという間に胃腸や肝臓、腎臓にダメージを与え悪化させます。

食性、代謝の良さ、腸の特殊なシステム、疑われる遺伝的欠陥。これらがもたらすものの研究がもっと進んで欲しいです。

まとめますと鉄分・たんぱく質・ビタミンCを控える、代謝がよい、特殊な腸の消化システムを持っている、肝臓と腎臓と感染症に注意、です。

この消化吸収が良い腸のシステムと代謝の良さ故に24時間以上、絶食状態が続くと命に
関わる場合があるため注意が必要です。迷子のローリー・ロリキートを保護した場合とにかく何か食べさせてあげて下さい。そして、お薬も種類によっては効果が早く現れ、消えてしまうものもあります。反対になかなか吸収されずに効果が上がらないお薬もあります。

長々と小難しいお話をさせて頂きました。この内容は国内外の文献や獣医さん、主治医の話を聞いた上でのことで、現時点でのものです。一部分は私個人の経験やローリー・ロリキート友さん達の経験に基づいています。日々、医学は進歩し改訂されていきます。憶測の部分についても明らかにされていくでしょう。それを心から願います。

私たちローリー・ロリキート飼いの一番の悩みは「ローリー・ロリキートを診られる獣医さんが少ない」ということです。私も多くドクターショッピングを繰り返してきました。関西では「鳥も診られる」病院が少ない上にローリー・ロリキートも診られるとなれば余計に少ないです。私も主治医がいなければともに暮らすことを諦めていたかもしれません。ローリー・ロリキートと一緒に暮らす際には信頼できる獣医さんを見つけてからの方がベターだと思います。鳥を診られる=ローリー・ロリキートを診られるではありません。鳥を診られる獣医さんでも、一連の原因不明の突然死のことをご存知ない方もいらっしゃいます。相性のあることでもありますから、納得のいくまで信頼のできる主治医の先生を探して下さい。